日々忙しい、弁護士の先生方へ
弁護士の先生方からのご相談として、「とにかく忙しい」というものがあります。
地域や取扱分野を問わず多いお悩みです。事務所が成長し、軌道に乗っているからこそのお悩みとも言えると思います。
一方で、今忙しいから安心かというと、そうではありません。経営に時間を割けないことはリスクになりつつあります。
毎年弁護士数は、2000人ほど増えています。一方で、各分野の案件数は横ばいか減少傾向です。法律事務所業界は、何もせずとも成長していく「上りのエスカレーター」ではなく、常に工夫が必要な「下りのエスカレーター」にいると言えるでしょう。
だからこそ、忙しい中でいかに実務以外の時間を作り、経営に向き合うかが重要となります。
時間を捻出するための船井流経営法「圧縮付加法」
しかし、忙しい中でもさらに時間を割くということは、要するに今ある資源で今まで以上の取り組みをするということになります。
毎日忙しく、案件対応以外で手いっぱいの先生にとって、これは大変なことですよね。そこで取り入れたいのが「圧縮付加法」の考え方です。
元々圧縮付加とは、小売業で使われてきた経営手法でした。
「ヒト・モノ・カネ・情報」については減らすことなく、売り場面積を圧縮する方法です。
商品の密度が上がることで、少ないスベースで品ぞろえは変わらないので、ボリューム感が出て売り上げが上がることもあります。
そこで見えてきた売れ筋の商品が長所となる商品です。
既存の商品の密度を高め、売り場を開けていますから、見えてきた強みである商品の拡充を行ったり、新商品の入荷を行ったりすることができます。
そうすることで、その店舗の長所を引き出し、売上を上げられます。
一方、法律事務所においては、実体としての「商品」も「売り場」もありません。
その中でどのように圧縮付加をすればよいでしょうか。
法律事務所の商品は、いわば「時間」です。
ですので、いかに時間を圧縮できるかを考えましょう。
まずは、いま行っている仕事を100としたら、80に圧縮することを目指しましょう。
そうすることで、20の時間を空けることができます。
船井流経営法の中に「保守7割革新3割」という言葉があります。
人が変化を感じることができる差は3割からといわれています。
ですので、理想を言えば7割まで圧縮し、3割を新しいことに使うことは好ましいです。
ただ、10を7に圧縮するにはハードルがあります。ですので、まずは8に圧縮することを目標としてもらえたらと思います。
どのように時間を「圧縮付加」するのか?
時間を「圧縮付加」するには、どのようにすればよいでしょうか。
では8割の時間で完了させるようにしましょう、というだけで達成はできません。
AIを活用し、省人化を行う、リーガルテックを活用する、デジタルツールで管理する、入力の手間を減らう、などのAIやDXを用いた方法や、事務局との役割分担を通じて、弁護士のするべき業務に集中するような業務効率化の方法もありますが、今回はもっと簡単な明日から実践できる方法をご紹介します。
①会議の終わり時間を決める
会議の開始時間は決めるけれど終了時間は決めないというケース、ままあるのではないでしょうか。
終了時間を決めなかったことで、思ったより伸びてしまい、30分以上オーバーすることもあると思います。
そこで、会議は開始と終わりの時間を決めましょう。
依頼者との会議や電話、新規の相談が長引くこともあるかと思います。
難しい場面もあると思いますが、終わりの時間を決めてみてください。
もちろん依頼者の話をじっくり聞くことが必要な場面もあると思いますが、ある程度の終了時間を決めておくとよいでしょう。
②会議の時間を圧縮する
会議は1時間に設定されることが多いと思います。それを50分に設定してみることも効果的です。
1時間の80%が48分ですから、おおよそ8割に圧縮したことになります。
50分にすることで、終了時間が◯時50分になるので時間を気にするきっかけになりますし、作ることができた10分で次の準備をすることも可能です。
1回の相談枠を50分にする、所内の会議を50分にするということを考えてみていただければと思います。
③帰宅の時間を決める
圧縮する上で効果的な方法が、帰る時間を決めることです。「毎日◯時に帰る」と先に決めてしまうことで、それまでに終わるように調整をすることが可能です。
実際に、20時に帰ると決めたことで、今まで22時まで働いていたものが20時に帰るルーティンになったケースや、20時から19時30分と前倒しできたケースもあります。
また、先に予定を入れておき、それに合わせて帰宅するということも効果的です。
圧縮した時間で何をするのか?
ここからは圧縮付加法の「付加」のお話です。
空いた時間で何を付加するかのを考えていきましょう。
趣味の時間にする、家族との時間にする、など、使い道は色々。
ただ、忙殺されて事務所のこれからのことや課題の解決に使えていないなと感じたら、経営に割く時間に充ててみてはいかがでしょうか。
事務所の課題に合わせて、以下のような取り組みをしていただきたいと思います。
・注力テーマが定まらない
セミナーや研究会を通じた法律事務所の時流把握・モデル事務所探し
・注力したいテーマがあるが、手を出せていない
セミナーや研究会を通じた法律事務所の時流把握・モデル事務所探し
マーケティング活動の実施
・問い合わせ数が不足している
Webマーケティングの強化
広告の実施・強化
地場での地上戦の実施
・面談につながっていない
ターゲティングの見直し
電話対応品質の見直し
・受任率が低い
面談品質の見直し
追客体制の整備・反響管理の実施
・案件の状況が整理できていない
案件管理システムの検討
・人手不足で忙しい、育成しきれていない
弁護士採用マーケティング
事務局採用マーケティング
弁護士・事務局の評価制度構築
・事務所の方向性に悩んでいる
パーパス・ミッション・ビジョン・バリューの策定
事務所の一番の課題は見つかりましたでしょうか。
対策を考えるうえで、ぜひ船井総研のコンサルタントをご活用いただければと思います。
上で上げたお悩みは、多くの事務所が抱えているもので、あなたの事務所に限ったものではありません。他事務所が何をしているのか、どう乗り越えたのか、をお伝えさせていただきます。
船井総研では法律事務所に特化をしたコンサルタントが多数活躍しています。あなたの事務所で取り組みたい分野やお悩みに合わせて、最適なコンサルタントがお話をお聞きします。
経営に関するご相談は、60分無料でお受けしています。「どうしたらいいかわからない」「漠然と困っている」「何が課題か整理できていない」という状態でも構いません。お気軽にお申し込みください。
また、法律事務所向けの研究会も実施しています。
研究会は「師と友づくりの場」をテーマに、現在のべ200事務所以上の先生に参加いただいており、経営に関する勉強や情報交換を実施しています。
他の法律事務所の動向を知り、最適な取り組みを考えるために研究会にご参加ください。
ぜひ空けた2割の時間で、ご活用ください。