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ウィズコロナ時代に中小企業から頼りにされるために身に付けておきたいサポート実務とは?

ウィズコロナ時代に中小企業から頼りにされるために身に付けておきたいサポート実務とは?

皆様こんにちは、船井総研の堀本です。
法律事務所の業績は、全国的に4~5月の新型コロナウイルス感染症による影響で底を打った後、8月は一部地域においてコロナの第二波到来が報じられたことなどもあってか、二番底といった事務所が多く見られた状況です。今後においても、オンライン面談等の一般化や、感染症発生への対策を講じた上での顧客誘引の方策を実行するなど、工夫をかさねることで、従来~従来以上の業績回復に繋げたいところです。

このようなウィズコロナの状況においては、一般企業も同様、あるいはより大きな業績の波を経験しています。業種・業態に応じて、その差はありながらも、今後の事業性の行方に不安を抱える零細・中小・中堅企業が多く存在します。今後の事業の継続性を検討した場合、目先の業績回復に加え、中長期を見据え戦略的にM&A等による事業譲渡や、第三者への事業承継といった将来の展開を検討する企業が増えている、というのが実態です。

今回のコラムでは、法律事務所が対応したい、企業の事業性サポートにおける3つの着目ポイントについてお伝えします。

1, 企業の置かれた状況を理解し、P/L、B/Sを把握する
2, 目先での対応が必要な労務関連を押さえる
3, より手前段階で打つべき手を把握し、対応する

 

1, 企業の置かれた状況を理解し、B/S、P/Lを把握する

現在、コロナによる経済活動の縮小均衡を打開し、企業の存続を実現するために、政府による緊急融資予算が、戦後最大規模で組まれています。これにより目先の数ヶ月~数年の運転資金自体はどうにか確保できている事業者が多数です。

一方で、無担保で借入を増やせたのは良いものの、将来にわたって借入を返済できるような売上・利益の確保が必要となります。このための、将来を予見するための数値の読み方ができるか、ということがポイントとなります。その前提として、数値が把握できるように整理ができているか、ということが問題となるケースもあります。

弁護士として、関与先・相談先に対して、今後の事業性に不安があるといった場合は、とにかく一度、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、決算書、借入一覧を出してもらい、目を通しましょう。

 

2, 目先での対応が必要な労務関連を押さえる

先日開催したコロナ対応に関するセミナーでは今必要な労務に関して、杜若経営法律事務所の向井蘭先生より講座をいただきました。今後の見通しの立てづらい市況において、労務関連経費をいかにコントロールしていくかが大きなポイントとなることをご指摘いただきました。

コロナ下の業績の見通しの立ち辛い状況の中で、とはいえ休業による助成などを組み合わせながら、柔軟性の高い雇用を実現するための施策について、下記を挙げていただきました。
希望退職募集
整理解雇
パート・アルバイト対応
派遣契約条項変更
事業外みなし労働(テレワーク)規定
副業規定
出向規定
内定取消適正対応
退職勧奨条項
危険手当制度化

実態の数値状況を把握しながら将来の見通しを立て、雇用の面で打つべき手立てを、戦略提示と戦闘レベルでの対応、両方から進めていただきたいです。

 

3, より手前段階で打つべき手を把握し、対応する

「債務が数億にのぼっており、返還の目処が立てられない。ただし、現金も数千万円あり、今すぐに破産せざるを得ない、という訳ではない・・・」
ある事務所に最近寄せられたご相談です。これについて、皆様まず何をアドバイスされるでしょうか?

破産を適正に進める方法というのは、多くの事務所様で押さえていただいているかと思います。会社を閉じるのではなく、存続させる方法として、法律家以外の動員も図ることを視野に入れながら、下記のような手前段階での「打つべき手」を把握し、ご提案いただきたいです。

・資金繰り状況の把握(顧問先税理士・会計士との協力・情報共有)
・銀行へのリスケ交渉(顧問先税理士・会計士との協力・情報共有)
・金融機関・取引先債権者への債務カット交渉
・スポンサー企業の募集(関係者・債権者等巻き込む)
・M&Aの検討
・事業承継の検討

上記については、上からより手前段階で、傷の浅い状況だからこそ手が打てるという取り組みになります。順番に、当該企業へヒアリングを行いながら、どこまで検討が済んでいるか把握することは、適切な提案を行う上でも重要です。

もし、事務所として適切な提案を進めていきたい場合は・・・・

コロナ下において、足元で業績悪化に苦しむ顧問先様を抱える先生方もいらっしゃるかと思います。また、金融関係、コンサルタント、事業性に関与していく税理士・会計士・弁護士等の専門家と話しをすると口を揃えて、ここからが日本の零細・中小企業が本当に試される局面、ということを話されます。

弁護士の皆様にとっては、来るときに備え、必要とされるスキルを磨き、情報にキャッチアップすることで、大きな時流を捉えた業務拡大と共に、社会に真に役に立つ専門業務の提供が可能となると考えます。

弁護士の新たな役割としての「再建マネージャー業務」について、ご関心をお持ちの皆様に、関連するレポートをお送りさせていただきます。ご希望の旨、本メールへのご返信にてご連絡ください。また、弊社の財務・M&A領域のコンサルタントが無料相談に応じることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

【執筆者:堀本 悠】

法律事務所経営.com

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