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【2021年最新!労災情報】弁護士なら押さえておきたい!コロナ禍においての最新の労災ニュース2選

【2021年最新!労災情報】弁護士なら押さえておきたい!コロナ禍においての最新の労災ニュース2選

いつもお世話になっております。
士業支援部・人身傷害業務研究会の主幹を務めております山本千穂です。
今回から、数回に渡って「労災に関する最新の情報」をお伝えをいたします。

2020年から新型コロナウイルスにより人の動きが減ったこと、また、近年の自動運転技術が高まったことが要因となって交通事故案件は年々減少傾向がございます。

ぜひ、交通事故をメインに取り組んでいる事務所様に労働災害分野を始めていただきたいと考えております。

押さえておきたい労災の基礎情報

皆様、新型コロナウイルスでも労災認定がされるのはご存知でしょうか?

企業法務に注力されている先生は顧問先から質問が来ているのではないでしょうか。

新型コロナウイルスで労災の対象となるのは下記3つです。

①感染経路が業務によることが明らかな場合
②感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
③医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象

感染リスクが高い業務の例
例1:複数の感染者が確認された労働環境下での業務
例2:顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務

それでは、新型コロナウイルスにおいて、どのような給付が受けれるのでしょうか?
労災保険の種類は3つです。

①療養補償給付
 ・労災指定医療機関を受診した場合:原則として無料で治療を受けることができる
 ・労災指定医療機関以外で治療を受けた場合:一度治療費を負担し、労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給される

②休業補償給付
 ・療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、給付を受けることができる
  給付日:休業4日目から
  給付額:休業1日あたり給付基礎日額の8割(特別支給金2割含む)

③遺族補償給付
 業務に起因して感染したため亡くなった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、遺族補償一時金などを受け取ることができる

 

最新労災ニュース①COVID-19労災、4分の3強を医療介護系が占める

「2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による労働災害発生状況が明らかになった。厚生労働省が4月30日に発表した。
同統計によると、COVID-19による労働災害(以下、COVID-19労災)として届出があった死傷者数は合計6041人で、うち2961人が医療保険業、1600人が社会福祉施設だった(図1)。

一方、飲食店のCOVID-19による死傷者数は79人と、無症状感染者からの感染リスクが否定できない職場ながら、労災の発生は比較的少ないことも示された。」(2021年4月30日の日経メディカルより)

新型コロナウイルスも労働災害に認定され、医療従事者の感染が最も多く、令和2年時点で6,041件の死傷者が確認されています。

 

出典:厚生労働省による「令和2年労働災害発生状況の分析等」

医療従事者向けの支援制度もありますので詳しくは下記をご覧ください。
新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度
https://jcqhc.or.jp/w-comp

また、飲食店では業務との因果関係の立証が難しいため(感染経路の特定ができないため)
認定が少なくなっています。

 

最新労災ニュース②「ヘルパーからコロナ感染」遺族が事業所を提訴 広島

「新型コロナウイルスに感染し、82歳で死亡した広島県三次市の女性の遺族が、同市の訪問介護事業所の運営会社を相手取り、4400万円の損害賠償を求めて広島地裁に提訴したことが2日、わかった。事業所のホームヘルパーが女性への訪問を控えていれば感染を防げたとして同社が安全配慮義務を怠ったと主張している。提訴は9月3日付。

訴状によると、ヘルパーは3月31日に発熱や味覚、嗅覚(きゅうかく)異常の自覚症状があったが、4月1日に改善したとして翌2日と6日、女性のもとを訪れ、10日に感染が判明したとされる。一方、女性は4月3日にせきなどの症状が出て、同19日に新型コロナによる肺炎で亡くなった。

原告側は、感染させたのはヘルパー以外に考えられないと主張。さらにヘルパーの親族も4月1日には頭痛などの症状があったと指摘。運営会社はヘルパーやその周辺の人に感染の兆候がある場合は報告を求め、出勤させない義務があるのに怠ったとしている。運営会社は取材に対し、「弁護士と相談して対応したい」としている。」

2020年10月2日朝日新聞より

新型コロナウイルスに感染したヘルパーが利用者である高齢者に感染させたということで安全配慮義務違反として提訴されました。

その後ですが、
「運営会社は女性の死亡について遺憾の意を表し、哀悼をささげるとし、運営会社に法的な賠償義務のないことを双方で確認した。訴訟取り下げの理由として男性側は、介護現場の安全管理体制についての問題提起は報道である程度達成された▽訴訟継続で介護現場が萎縮するのは本意ではない―などを挙げた。提訴時にはネット上で「損害賠償が認められると介護現場が持たない」などの声が上がっていた。」(2020年10月12日 中國新聞より)

結果、和解したそうなのですが、新型コロナウイルス関連の訴訟がでてきたという事例でございました。

 

弁護士1名で労災で年間受20件:最新の労災セミナーを開催いたします

今回はセミナーでご紹介したコロナ禍においての最新の労災情報をお届けしました。

現時点で労災の死傷者は13万人。弁護士による労災の特化サイトは64サイトしかないのが現状です。

労災はまだまだ弁護士の関与が少ない分野です。
労災事故で辛い思いをしている被災者に適切なサポートを届けていただきたい想いからセミナーを開催いたします。

労災に取り組まれて、弁護士1人・スタッフ3名で労働災害で売上約1,000万円プラスオンをされています。

本セミナーではゲスト講師である河口法律事務所様が2019年3月に船井総研が主催する労働災害セミナーに参加をしてから現在までの取り組みをご共有いただきます。

 

セミナー詳細・申込はこちらから

 

【執筆者:山本 千穂】

法律事務所経営.com

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