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弁護士が顧問解約を防止する「10の具体策とは?」


いつもありがとうございます。
船井総合研究所の吉冨でございます。

2017年3月に企業法務研究会が発足し、当時は

・経営者との接点を構築する方法が分からない
・接点は構築できるものの顧問契約に至らない
・紹介は顧問に至るが、セミナーやWEBからの顧問契約が難しい

といった声を多く頂戴しておりましたが、
近時は、多くの事務所の先生方で上記のような「顧問獲得」の課題は解決され、「継続率向上」「単価向上」「紹介率向上」といった、顧問契約獲得後のKPIに課題を感じていらっしゃるケースが増えてきているように思います。

顧問契約の主な解約理由とは?

まず、顧問解約の理由ですが、研究会会員さまや個別ご支援先の先生方にお聞きすると、おおよそ以下の5つが主な解約理由になっています。

①案件終了 ②資金繰り悪化 ③相談・依頼減少 ④顧問料不払い ⑤経営者・担当者交代

また、企業法務研究会会員さまの解約状況を見ると、顧問の解約率は顧問数に比例し、解約率は約3%~30%であり中央値は9%となっています。
・紹介で顧問になった先の解約率は低く、マーケティング経由で顧問になった先の解約率は高い
・3万円以下の顧問契約の解約率が高く、5万円以上の顧問契約は解約率が低い
・事案きっかけで顧問になった先の約半数は、事案終了後に解約になる(半数は残る⇒継続提案している先生の継続率は高い)

といった傾向もあります。

顧問解約を防止するための「10の具体策」

なお、今回のテーマである「顧問解約を防止するための具体策」ですが、あくまでも「価格=価値」であり、価値が顧問料金を上回っていれば基本的には解約になることはない、という前提で、全国の先生方が顧客満足度を上げるための取り組み例として紹介をさせていただきます。

なお、以下の⑦~⑩は顧問料金の範囲でなく、別途割引価格で対応するケースが多いです。

①メールマガジン、ニュースレターによる情報発信(法改正、重要判例等の解説、時事に関するコラム)
②チャットを活用した相談頻度の向上(メールだと枕詞が必要であり、心理的ハードルを失くす趣旨として)
③オンラインセミナー録画配信(通常、有料のセミナーも顧問先であれば無料でいつでも閲覧できるようにしておく)
④企業や工場への個別訪問(経営者との雑談をするなかで、経営課題を発見できるようになる)
⑤電話、FAXによる御用聞き(潜在的な法的課題や経営課題を相談し易い媒体でヒアリング・確認する趣旨として)
⑥お中元、お歳暮の持参(送るのではなく、なるべく持参し、そこで経営者との雑談をする。④と同様)
⑦企業内研修の実施(ハラスメント、コンプライアンス、個人情報の取り扱い、特商法など、法改正や業態に合わせた研修を割引価格で提案)
 ※都内であれば定型研修で2時間10万円程度のところ、半額の5万円程度で実施提案をしているケースが散見
⑧契約書・就業規則の改訂提案(民法改正に伴う改訂やテレワークしている企業であればテレワーク規定を入れる提案など、状況に合わせて提案)
⑨PL・BSコンサルティングの実施(財務三表をいただき、キャッシュフローや営業利益率等で改善できる側面についてアドバイスを実施)
⑩EAP(従業員支援プログラム)の提案(従業員1名あたり100円/月額で提案するケースが多い)

ちなみにここで言う「価値」は単に法的サービスの提供に留まらず、事案がなくとも「顧問弁護士がいることで、経営に専念できる」という精神衛生上の心理的安全性も価値になり得ますし、多くの経営者は実際に価値を感じていることが多くあります。

経営者は顧客とのトラブル、従業員とのトラブル、株主とのトラブル、不動産トラブル、風評被害など、さまざまなトラブルや経営課題に向き合いながら企業経営をしています。
研究会でもお伝えさせていただいているように、近年、顧問契約の獲得と維持ができている先生は、「経営者が気付いていない経営課題を発見し、課題解決ができる」ことが共通しています。

あくまでも上記の10事例は参考例とし、あくまでも経営者が経営に専念できるように、ビジネスや経営理解を深め、弁護士としてどのような貢献ができるかを、経営者に向き合い提案いただけると良いのではないかと思います。

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