新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策:法律事務所における緊急事態宣言後の状況と今後の施策 企業法務・労務版
船井総合研究所の吉冨です。
コロナ禍において、反響数や収益において昨年比で大きな変化が見られ、この機に中長期計画を見直す先生方もいらっしゃいます。今号では、法律事務所における緊急事態宣言後の状況と、今後取るべき施策についてお話しさせていただきます。(4月30日時点)
目次
■企業法務分野の現況と展望
新型コロナウイルス禍においては、業種問わず全国の企業から「休業対応」や「テレワーク導入における労働時間管理」、「労働契約の見直しや終了」をはじめとした労働問題に関する相談や問い合わせが増加しています。また、新型コロナウイルスを機に働き方が大きく見直される一方で、労働条件の変更や最終手段として内定取消、整理解雇に踏み切る企業も増加すると想定されます。労働環境が大きく変わることで、企業における弁護士ニーズは労働問題を中心に増加すると予想されます。ただし、企業としても生産年齢人口の減少により、人財の定着が企業を持続的に成長・発展させるうえでは重要な経営課題となるため、ビジネスを理解し、経営に寄り添った提案が求められます。
■今後、法律事務所として何をすべきか
新型コロナウイルス感染症の状況は日々変化しており、迅速かつ柔軟にニーズに合わせて対応する必要があります。以下、3つのフェーズに分けて法律事務所として実践したいことを記載しています。
・今後1か月
新型コロナ禍における企業の労働問題に関して、顧問先企業および名刺交換先企業等に連絡のうえヒアリングし、潜在・顕在ニーズの双方を把握するとともに、弁護士として対応できるサービスの提案や助言を行いましょう。
・今後1~3か月
労務分野においてニーズのある業務を整理し、特に事務所として反響を獲得したい業務を確定し、販促計画に組み込みましょう(主にホームページでのコンテンツ強化とオンラインセミナーの実施)。また、受任から解決までを見据えた処理体制や料金体系、サービス内容の整備をすることが重要です。
・今後3か月以降
販促活動を止めることなく維持し続けるとともに、休業対応、労働時間管理、退職勧奨(整理解雇)、団交・労組対応など、コロナに関連する労働問題を包括的に対応できる体制を構築しましょう。また、労働問題をきっかけとし、その他企業が抱えるコロナにまつわる法務ニーズ(契約トラブル、債権回収、破産再生)についても対応できる仕組みを構築しましょう。
■マーケティングはどのようにすべきか
・集客
セミナーや勉強会を年内にリアルで開催することは情勢的にも難しい状況です。一方、Zoom等を活用したオンラインセミナーの実施が活況で参加へのハードルも下がっているため、セミナーはすべてオンラインに移行することが重要です。また、WEBで情報収集をする経営者も多いため、コロナに関連する情報提供と弁護士活用の方法を記載した記事を定期更新することが重要です。
・面談
リアルで面談をすることが難しい状況のため、面談はZoomなどを利用したオンライン面談を実施しましょう。オンラインセミナー参加者のフォローについても、Googleフォームを活用したアンケートの回収をもってオンライン面談に誘導することは可能です。なお、初回法律相談を無料にしたり、テーマに合わせて書面チェックアドバイスを入れるなどで満足度を上げましょう。
・受任・契約
オンライン面談でクロージングとなりますが、契約率を上げるうえでも提案書を作成し、オンライン面談で具体的な顧問サービス内容を明朗会計で明示できるようにしておきましょう。
・処理
新型コロナウイルス感染症に関連する労働問題は一部、社労士業務が入るケースがあります。内容によっては助成金を取り扱う社会保険労務士に紹介する体制を整えることや、生産性が高まる案件を中心に取り扱うことも踏まえ、処理体制を整えてから販促活動を開始しましょう。
■オンラインシフトの必要性
以上、新型コロナ禍においてはこれまでの顧問開拓の手法と異なり、オンラインセミナーの開催やオンライン面談の実施など、非対面で経営者との接点を構築し、クロージングをする場面が増加します。また、顧問契約や委任契約を締結する際にはクラウド上で契約を取り交わす場面やクレジット決済を導入する場面も想定されます。新型コロナ禍において、時流のニーズをキャッチアップし、企業が新型コロナウイルス感染症を乗り越えるうえでのサポートを提供し続けることが企業法務に取り組む弁護士に求められる要素となります。
新型コロナウイルス禍において、法律事務所の中期計画や販促計画を再考する先生方も多いのではないかと思います。今回、船井総研では新型コロナ禍において今一度、企業法務分野のマーケティングを強化したい先生方を対象にしたオンラインセミナーを開催いたします。
新型コロナウイルス感染症における企業法務分野の市場概況と今後の展望と対策および法律事務所が実践すべきデジタルシフトについて1時間に纏めてお送りさせていただきます。
無料での開催となりますので、この機会に是非お申込みください。
新型コロナウイルス感染症による危機を一丸となって乗り越えたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
参 考
厚生労働省では、企業(労務)の方向けに、新型コロナウイルスに関するQ&Aや各種助成金の案内、並びに、テレワークガイドライン(「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」)をホームページに掲載していますので、参考としてください。
【リンク先】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#hatarakukata
また、厚生労働省より、各労働局長へ「新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による影響を踏まえた中小企業等への対応について」と題する通達が出されていますので、こちらも参考としてください。
【リンク先】
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