新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策:法律事務所における緊急事態宣言後の状況と今後の施策 離婚版
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、大小さまざまではありますが、法律事務所の経営にも影響が出ております。
今回は、離婚分野に注力する事務所の直近の状況についてお伝えさせていただきます。(4月15日時点)
目次
1. 離婚事務所の直近の数値変化
4月6日までは、東京・大阪を中心に、緩やかな問合せ数の減少と、面談のキャンセルが見られました。しかし、4月6日の緊急事態宣言発令後、対象エリアでは、急激に問合せの減少が起こっています。
2. すぐに実践できる新型コロナウイルス感染症対策
(1) 電話相談やオンライン面談の導入
相談者の保護と相談減少への対応のために、平常時、対面の法律相談しか実施していない事務所においても、電話による法律相談やZOOMなどを用いたオンラインでの法律相談を受け付ける体制を整えることをお勧めします。
ZOOMやWhereby、Skypeなどであれば、設備投資を行わずにオンラインで面談することが可能です。
(2) メール相談の実施
自粛期間中における電話相談やオンライン面談は、既に別居されている夫婦にとっては効果的ですが、同居中、特にDVやモラルハラスメントを伴う夫婦の場合、相性が良くありません。そこで、メールでの相談を受け付ける事務所が出てきています。
方法としては、以下となります。
・問合せを受けた後、こちらから質問事項をお送りして、相談者に回答を送付してもらう。
・弁護士が上記に対する回答を作成し、返送する。
・その後、弁護士の回答に対する質問は、1回まで受け付ける。
・上記を無料で実施し、2回目以降の質問については有料とする。
ただし、受任相当の案件については以下のようなイレギュラー対応が必要です。
(ア)オンライン面談が実施できないか方法を一緒に模索する
(イ)弁護士の回答に対する質問を複数回受け付ける
(ウ)新型コロナウイルス終息後の来所面談も無料で実施する 等
(3) 協議による解決を模索
緊急事態宣言の対象地域では、裁判所が閉鎖となり、期日や裁判が延期となっています。既に実施されているかと思いますが、相手方弁護士、または相手方本人と連絡を取り、協議での解決を進めることが大切です。
(4) 事務所にマスク・体温計・アルコール消毒を常備する
常備するだけではなく、毎朝の体温チェックやマスクの装着を徹底しており、出勤時にはソーシャルディスタンス(2m間隔)を空けて着座するようにしていることをサイト上で謳うようにしてください。
(5) 弁護士・事務スタッフの在宅勤務を進める
終息の目途が立たない状況下、所員の安全を守るため、これを機に、バーチャルオフィス化(リモートワーク・オンライン会議等)を進め、クラウドシステムやチャットを活用した事務所経営・業務処理方法に転換する機会とすることをお勧めいたします。
3. 長期的視点から採るべき対策~デジタルツールを活用した業務処理体制への移行~
新型コロナウイルスの影響を受けて、今後、デジタルツールやクラウドを活用した業務処理体制への移行が加速していくことが予測されます。離婚事務所では昨年から、デジタルツールの導入を開始する事務所が増えてきました。
新型コロナウイルが流行する前からデジタルツールを導入している事務所が目指す生産性向上のステップは、以下の二つになります。
(1)業務管理ツールの一元化による生産性向上
問い合わせはスプレッドシートで管理し、利益相反チェック用のエクセルは別で作成、受任になった案件は全て紙ベースでファイルを作成して管理、電話が入ったらLINEやチャットで共有…といったように、事務所のデータ管理ツールが複数乱立していないでしょうか?デジタルツールを導入してこれらを一括管理することが、生産性向上の第一ステップとなります。
(2)デジタルツールを活用したPMモデルへの移行
離婚分野の生産性向上のための1つのカギが“パラリーガルとの業務連携”にあります。ただ、こちらに関しては、既に高いレベルで業務分担を実現できている事務所様が増えております。
パラリーガルとの業務連携が完了した事務所が目指す次のステップが“PM(プロジェクトマネージャー)モデル”です。PMモデルとは何かというと、PM(プロジェクトマネージャー) “が事件の進捗管理業務をデジタルツール上で一括して行う業務体制のことです。これにより、弁護士から事件の進捗管理業務が取り除かれ、より一層、弁護士資格がなければできない業務に集中することが出来ます。
既にデジタルツールを導入されている法律事務所は上記の2ステップによって、より生産性の高い事件処理体制を目指されています。
デジタルツールの導入に興味がある方は、開催予定のセミナーにぜひお申し込みください。
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