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弁護士が独立開業するには?準備すべきことやタイミングについて徹底解説


 

弁護士が独立開業の際、準備について押さえておくべきポイントはなんでしょうか。
弁護士の独立開業には、徹底的な事前準備が欠かせません。
本記事では、独立開業に関するノウハウを持つ船井総合研究所が詳しく解説いたします。

弁護士が独立開業をする場合のメリット

まず始めに、弁護士が独立開業するメリットは4つあります。

  ・独立すると理想の事務所をデザインできる
  ・独立しするとやる仕事、やらない仕事を選べる
  ・独立すると時間・場所に融通が利く
  ・独立すると年収面での変化が起こる

それぞれ詳しく解説いたします。

1-1.独立すると理想の事務所をデザインできる

独立開業の最大のメリットは、事務所を自由にデザインできる点です。どこに、どのような分野に強い、どのくらいの規模の事務所にしていくか、を自由に決めることができます。

1-2.独立するとやる仕事、やらない仕事を選べる

勤務弁護士は事務所に来る案件を配転され、それを処理するケースも多いのではないかと思います。総合的に扱う事務所では、いろいろな分野の経験が積める半面、この分野は苦手だ、という部分が出てくるのではないでしょうか。

日頃コンサルティングをしている中でも、そのような話は出てきており、

「この分野は扱わないことにしています。」
「この分野は得意ではないので控えたいです。」

という話題になることもあります。一方で、強みを作ることも可能です。特定の分野に注力して取り組む、かけ合わせて競合が少ない領域に行くなど、戦略構築をすることが可能です。

1-3.独立すると時間・場所に融通が利く

勤務弁護士であれば、事務所で定められた勤務時間や勤務場所に従う必要がありますが、独立開業をした場合は時間や場所にある程度融通を効かせることができます。一日の中で仕事をする時間を選ぶこともできれば、休みの日を変えることも可能です。

また、事務所によってテレワークの可否や決まっており、場所に融通が利かないケースもあるでしょう。この場合も独立開業をすることで、働く場所を自分で決めることができます。

実際に、ある弁護士は顧問業務を中心の事務所として発展させ、対応をビジネスチャットに集約させることで、時間と場所に囚われない働き方を実現されています。

1-4.独立すると年収アップが見込める

勤務弁護士から代表弁護士になることで、収入面での変化が起こります。事務所の売り上げの中で、いくらを何に宛てるのかが検討できるので、その中で収入も決めることができます。なお、船井総研の会員事務所様でも代表弁護士は勤務弁護士よりも売り上げも高い傾向にあります。

弁護士が独立開業をするデメリット

以上のように、独立すると自由な働き方を得ることが出来ます。

その一方で当然デメリットもあります。「経営の知識が必要になる」「収入が不安定になる」などです。しかしこれらのデメリットは弁護士の独立に限らずとも発生するデメリットであって、これらをデメリットと感じるのであれば独立には向いていないということになります。

個人で独立する場合はすぐに相談や質問を出来る上司や先輩が居ない、というデメリットもあります。その場合は相談できる人脈を確保しておくとよいでしょう。

経営の知識と一言でいっても内容は様々で、経営戦略を練る知識はもちろんですが経費に関する知識、事務員を雇うのであれば採用育成に関する知識なども必要になります。経営に関する知識がないまま独立開業を進めることはリスクを伴いますので、弁護士・法律事務所専門のコンサルタントに独立の支援を依頼するというのも一つの方法です。

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弁護士が独立開業を決めるタイミングは?

独立開業のタイミングとして一般的に多いのは、弁護士登録から5〜10年後です。事務所に入り、業務経験・キャリアを積んでからというケースが増えております。

船井総研に寄せられる開業のご相談は、弁護士になってから3年~10年程度(年齢としては30代以降)で独立を決められる先生が多数を占めています。

独立するベストなタイミングというのは人によって異なります。しかし、確実に言えるのは”独立の準備が整った状態”というのがベストタイミングです。弁護士の独立には、開業の準備が非常に重要になります。

独立開業で成功する弁護士の特徴について知りたい方は以下の関連記事もご覧ください。

関連記事:独立開業で成功する弁護士の特徴とは?本当に弁護士の独立開業は悲惨な結果が多いのか?

 

弁護士の独立開業で成功するポイント

独立開業する場合に役立つ船井流経営法

ここでは船井総合研究所の提唱している船井流経営法のなかでも独立開業時に特に意識していただきたい経営法について解説していきます。

一点突破全面展開とは

船井流経営法では自社の強みを活かす「長所伸展法」の延長線上に、マーケティング面で独立開業時のようにアーリーステージの企業にとって重要とされるのが「一点突破全面展開」です。
一定の壁を乗り越える士業事務所は、この一点突破ができているケースが多く、「一点突破もしていないのに、全面展開してはいけない」という教訓があります。

一点突破するためのステップは下記の通りとなります。
1.一点突破の対象となるマーケットを選定する
対象商圏で一番になれる可能性があるかどうかを最優先に選定する必要があります。
2.1が複数あった場合、得意分野か、市場性が高いかどうかを吟味して一つに絞る
3.一転突破した状態を数値目標で設定する
売上、件数、シェア等の客観的な数値を基に構築していく必要があります。
4.目標達成のためのマーケティングアプローチを立案する
「人・金」をどの程度投下するのかを決めていきます。

差別化の8要素

差別化の8要素とは、下記の8つの要素のことを指します。
1.立地
オフィスをどこに構えるのかという点です。一点突破する市場分野において適した立地を選定する必要があります。
2.規模
例えば、資格者の数を地域で一番多く確保することであったり、オフィスの広さをこれまでの3倍にするということです。
3.ブランド・ロイヤリティ
本を出版する、論文を発表する、セミナー登壇する等の事務所や資格者のブランド力を向上させます。
4.商品力
これまで取り扱っていなかったサービスを提供する、ニーズの多い部分に新しいパッケージサービスを導入するといったことが当てはまります。
5.販促力・営業力
新たな媒体への広告出稿、WEBサイト構築、営業マンの育成等のことです。
6.接客力
外部の研修を受けさせる、接客ツールを事務所で整備してトークを標準化することです。
7.価格力
地域で最下限の低価格サービスを提供する、これまでの標準サービスをお試し価格で提案する。
8.固定客化
既存客に継続的に情報発信する、メールマガジンを発行していくこと、何度も事務所を利用してくれる固定客化していきます。

8要素は1から順番に経営に与えるインパクトが大きく、重要度が高い差別化ポイントです。独立開業時においてはすぐ成功するような事業はあまり存在しません。しっかりとどこを差別化ポイントとして事業を成り立たせるのかを検討したうえで取り組みましょう。

売上高の方程式

売上高を複数の要素に因数分解して、各因数を最適化するための対策を立案する方法はよく採用されており、船井総合研究所では、これを次の公式を使用しています。
売上高=シェア×商圏人口×マーケットサイズ

各用語の定義を解説します。
1.シェア:売上ベースでの自社の市場占有率
2.商圏人口:現時点でのビジネスモデルにおける実質対象人口
3.マーケットサイズ:取扱い商品における国民一人当たりの年間総支出高

それぞれを上昇させれば、売上アップにつなげることができます。
シェアを高めるには・・・
・既存客に対し、販促・営業を強化する
・既存客に対し、紹介依頼を行う
・新規開拓の販促・営業手法を展開する
商圏人口を拡大するには・・・
・強みのある分野に専門特化する
・事務所をより好立地の拠点へ移す
・支店を展開する
マーケットサイズを上げるのは、新しい商品を増やすことになります。

新しい需要分はシェアが低くなります。
・既存の分野で取り扱いのない事業を立ち上げる
・他士業の領域で新サービスを開発する

独立開業時には、変数を変えるための投資リソースが限られています。事務所の状況を考慮して、どの変数を上げていくことが最も実施しやすいのか検討してから取り組むようにしましょう。

商圏設定

マクロ商圏とミクロ商圏

商圏設定には「マクロ商圏」と「ミクロ商圏」があります。まず大きな視点で立地を都市部か地方かを選択した上で、駅前、ロードサイト、オフィスビル等の選択をしていきます。

マクロ商圏と業務内容は連動性があるため、事務所として取り扱う業務をどうするか、方向性が定まっているかどうかも影響を及ぼします。
大商圏か小商圏か、取り扱い業務は総合的か特化か、少なくとも立地選定の前に検討するようにしましょう。

ターゲット市場分析

把握しておくべき6つの情報

狙っていくマーケットを選定した際に、攻略するために必要なデータをお伝えします。
①その業界の企業数(できれば商圏内も)
②その業界の平均的な売上構造(売上、粗利、営業利益等)
③その業界のキープレイヤー同行
④その業界を取り巻くプレイヤーの概要(サプライヤー・ベンダー等)
⑤その業界の潮流(法・制度改正など)
⑥ターゲットリスト
最も重要なのは⑥になり、ターゲットリストがあれば、営業活動が可能になります。

情報の入手方法

インターネットや書籍以外で業界情報を入手する方法は主に以下の方法です
・日経テレコン、マーケティング・データ・バンクのようなデータベース提供会社と契約
・帝国データバンク、東京商工リサーチのような信用情報機関と契約
・業種別貸出審査時点や地域経済騒乱、シンクタンクが出しているレポートで、関連する業務や分野のデータを定期的にトレースする。
・業界団体と常にコネクションうぃ持ち、発行している定期行物を購読する
・業界の代表的なプレイヤーと常にコネクションを持ち、データ化されない情報を仕入れる

競合事務所分析

競合分析で知っておくべき項目

商圏内の競合事務所について、正確に把握することは、戦略上大変重要であるり、競合事務所との関係性は自社のの計画立案に影響を及ぼします。
競合事務所で判明させるべき要素は以下になります。
・規模&組織利欲
・主力業務&主力顧客
・強み&弱み
・代表的なマーケティング手法
・販売力
・料金体系
競合事務所分析の場合は、定性的な要素ではなく、数字で把握する必要があります。

法人向け業務の場合

BtoB(法人向け業務)の場合、競合分析の難易度が高くなります。営業力やサービスレベルといった比較項目が定性的であり、オープンな情報になっていないため、難しくなっています。

独立開業する場合の船井総研サポート

事務所の準備

船井総合研究所には、上記で示している通り、経営での「差別化の8要素」という考え方があります。

この順番は重要度も表していて、1~3は戦略的差別化=すぐに変えられない、4~8は戦術的差別化=企業努力で変えられる、とされています。
この中で、一番重要ですぐには変えられないものは立地ですので、開業時にこだわっていただきたいと思います。
利便性、ターゲットの有無、競合事務所の有無などを総合的にみて、判断をしていただきたいと思います。
また、自宅開業やシェアオフィスを活用して開業をするケースも出てきています。取り扱い分野を選びますが、開業資金面では有用です。

資金調達について詳しく知りたい方はこちらへ

内装の準備

什器を始めとした内装の準備は、事務所の準備に比べると重要度は下がりますが、法律事務所はサービス業であることを考えると、必要となる部分です。また、コピー機やFAXなどもまだ使われる場面が多く、準備が必要です。開業費用を抑えるために、リース契約をされている事務所様も多いです。

事務所レイアウトや必要な什器類について知りたい方はこちらへ

事務所名の決定

開業にあたっては、事務所名を定めることも重要です。これまでは代表弁護士の名前や名字からとったものが多かったのですが、事務所名で「何を強みとする事務所なのか」を表すことの重要度が増しています。特に企業法務を中心とする場合は、経営や労務といったキーワードを入れるケースが多い状態です。

採用関連

採用においては、いかに計画的に採用できるかが肝となります。人が足りなくなったから採用する、いわゆる補充採用から、いつまでのどのくらい拡大をするから、採用をする、という計画採用が必要となります。
特に弁護士採用は新卒であれば、修習期間を考えると入所が1~2年後となるので、採用したい時期にすぐに採用できないことがほとんどです。
事業計画を立て、いつ、いくら売り上げ、何名規模の事務所にするのかをイメージしておくことが重要です。
船井総研には、開業をしたいと思っているという相談が数多く寄せられています。ポイントが多く、コンサルタントに相談をしながら整理、検討をしたいという先生は一度無料経営相談をご活用ください。

開業前・開業後のマーケティング

開業後に事務所を維持するうえで、案件の獲得は最重要です。マーケティングの具体的な手法は分野や地域によって異なりますし、そもそもどの分野に注力していくかが開業の成否を分けます。ぜひご相談をいただければと思います。例えば、企業法務分野であればセミナーを行う、離婚分野であればSNS活用を行う、相続分野であれば相談会を実施するといったマーケティング施策がございます。
なおどの分野においても、Webサイトの作成は重要です。Webサイトも分野によって構成や記事の内容、検索エンジンに対する対策も異なります。
また、分野によってすぐにキャッシュになりやすい分野、キャッシュになるまでに時間がかかる分野があります。開業時の資金状況や顧客基盤に合わせて、
船井総研はWebに限らず、マーケティング施策全体を見たうえでサポートをしております。開業時やマーケティングでお困りの際はご相談下さい。

このほかにも、案件管理システムの検討や電話対応体制の検討なども必要となります。
ここまで開業のポイントを解説してきましたが、独立開業時には検討すべき点が多く、計画的な独立開業が必要となります。
船井総研では、全国200を超える法律事務所様とのお付き合いがあり、その中には船井総研と一緒に開業を進めた法律事務所様もございます。
どこから考えるか、どういった法律事務所にしていくかを検討するにあたり、なかなか進まずに、困っている先生は無料経営相談にお申込みください。状況をお聞きし、方針を検討するとともに、何から始めるかのアドバイスをさせていただきます。

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